遠近両用コンタクトとは
遠近両用コンタクトレンズとは
遠近両用コンタクトレンズとは文字通り、1枚のレンズの中に遠くを見る部分と近くを見る部分が混在しているレンズのことを言います。実は60年~70年前に考案されていたのですが技術的にかなり難しく、当時は実用的ではなかったようです。近年、技術の進歩によって商品化されてからまだ10数年ですが、ここ2~3年で一気に利用者が増えたのではないでしょうか。
一般的にコンタクトレンズと言えば遠くを見やすくするためのレンズですが、加齢と共に水晶体の弾力が失われ、近くのものが見えにくくなってきます。コンタクトレンズの上から老眼鏡をかければ手元のものはスッキリと見やすくなります。ところが老眼鏡をかけたままでは遠くのものが見えません。そこで老眼鏡なるものを掛けたくないと言う方や、老眼鏡の掛け外しをしなくても遠くも近くも見たいと言う方たちのために登場したので遠近両用コンタクトレンズなのです。
加入度数(ADD:アディション)について
遠近両用コンタクトレンズには通常タイプには存在しないADDと言うデータがあります。これは手元用の度数のことを指しています。例えばADD+1.00Dと言うデータの場合、手元用の度数が+1.00Dになっているということではありません。
例えばアルコンのエアオプティクスアクア遠近両用のデータを参考に考えてみましょう。
BC8.6 PWR-4.00D ADD+1.00D DIA14.2mm
遠近両用コンタクトレンズは1枚のレンズの中に遠くを見る部分と近くを見る部分があります。上記の場合、遠くを見る部分には-4.00Dと言う近視を矯正する度数が入っています。そして近くを見る部分の度数は(-4.00D)+(+1.00D)=-3.00Dと言うことになっている訳です。レンズのデータには-3.00Dと言う表記はないのですが、それはADD+1.00Dと言うデータがあって導き出されているのです。もしADD+2.00Dとなっていれば、近く用の度数は-2.00Dと言うことになります。
バイフォーカルとマルチフォーカル
バイフォーカルタイプ
1枚のレンズの中に遠用と近用の2種類の度数があり、それらがハッキリ分かれているため、遠くや近くは見やすいのですが、その中間部分と言う点で見えにくさが少なからずあると考えた方がいいかと思います。メーカーによって遠用、近用が配置部分は異なります。
マルチフォーカルタイプ
レンズの中心から周辺部に向かって徐々に度数が変化しているタイプで、焦点がたくさんあるレンズです。このタイプも中心部、周辺部どちらに遠用、近用が配置されているかはレンズにより異なりますが、遠用と近用の間に移行部的な度数の部分があるため、バイフォーカルタイプのデメリットをカバーしているレンズと言えます。ただしバイフォーカルのようにハッキリ遠用、近用が分かれていないだけにすべてにおいて「そこそこ」の見え方になります。
交代視タイプと同時視タイプ
交代視タイプ
1枚のレンズの中にある遠用部分と近用部分を視線を変えることにより使い分ける方法です。良好なフィッティング状態(レンズの動き等)であれば良好な視力が得ることができるため、視力の要求度の高い人に向いています。遠近両用ハードコンタクトレンズは基本的にこのタイプに該当します。
同時視型
メーカーや種類によりデザインや配置は異なりますが、レンズの中心部から周辺部にかけて遠用、近用が同心円状に配置されています。網膜上では常に遠くと近くの両方の像が同時に像を結んでいます。脳が見たい像、必要な像のどちらかを選択して認識します。そして不要な方には自然と抑制がかかります。遠近両用ソフトコンタクトレンズは全てこのタイプに該当します。